歯肉炎

歯肉炎の症状と原因

歯肉炎とは歯茎が腫れている状態のことを言います。歯肉炎は乳歯や子供の時でも起こり、歯茎が赤くなったり、出血したりします。多くの場合は歯垢が原因になります。

歯垢は細菌が増えた塊です。食後、24時間汚れを落とさないと、細菌がネバネバとした粘液を出し歯垢となります。歯茎は細菌や細菌の出した毒素が歯茎の中に入り込まないように、白血球やリンパ球などの細胞を集め細菌と戦います。
例えば蚊に刺されて皮膚が腫れる、ニキビができるなどと同じようにバイ菌や毒素が体に入りこんだときに、体が反応し、皮膚が腫れるのと同じ状態です。

歯肉炎は体の抵抗力と歯垢のバランスが崩れた時に起こります。体の抵抗力よりも歯垢が多かったり、悪性の強い細菌がいたり、いつも同じ場所に磨き残しがあると歯肉炎が悪化してしまいます。

また、歯周病は歯肉炎が進行した状態で、歯茎だけでなく、歯を支えている骨をとかしている状態です。

症状レベルの説明

レベル1 歯ブラシの時に血が出る

歯茎に歯垢が長時間溜まると炎症反応がおき、歯ブラシの時に出血します。
特に歯と歯の間は歯垢が残りやすく、デンタルフロスを行った時に血がついてくるようであれば、部分的に歯肉炎はある状態です。

レベル2 歯茎が盛り上がる様に腫れている

炎症の反応が強かったり、慢性化すると繊維化し、硬くなって歯茎が盛り上がる様に腫れてきます。口呼吸や高血圧やてんかんの薬によって起こりやすい状態です。

レベル3 歯ブラシが当たると痛い

歯茎に血液が流れない状態になると歯茎の一部が死んでしまい、歯ブラシなどが当たると強い痛みが出る様になります。原因不明のことが多く、ウイルスや免疫が原因の可能性があります。

各レベルごとの治療法

レベル1治療法

歯医者で歯磨きの正しい方法を指導してもらいます。歯ブラシやデンタルフロスの正しい使い方をマスターし、歯の周りに歯垢が残らない状態を維持できれば、歯茎からの出血は治まります。

治療回数1〜3回程度、保険診療3割負担の方で1回の診療分が1,500円〜3,000円程度です。

レベル2治療法

歯茎の炎症が長期間続くと歯茎が盛り上がったり、繊維化して硬くなります。適切なブラッシングと、歯医者でのクリーニングを繰り返し、歯茎の腫れが引くのを待ちます。それでも改善しない場合は歯茎を切除します。

治療回数5〜10回程度、保険診療3割負担の方で1回の診療分が1,500円〜3,000円程度です。歯茎を切除する場合には3,000円程度/1歯です。

レベル3治療法

歯茎が壊死(えし)している場合は強い痛みがあり、歯ブラシも難しくなります。自宅では柔らかい歯ブラシで周りの部分の歯垢を取り除きます。歯医者では口の中の環境を改善するためにクリーニングを行います。また、抗生物質や痛み止めを使い痛みが軽減するのを待ちます。

治療回数3〜5回程度、保険診療3割負担の方で1回の診療分が1,500円〜3,000円程度です。その後定期的なメンテナンスが必要です。

特殊な歯肉炎

3−1.歯茎が盛り上がっている薬物性歯肉炎(薬物性歯肉増殖)

高血圧の薬やてんかんの薬で歯茎が大きく膨らむようになることを薬物性歯肉炎といいます。担当医にお薬を変更できるかどうかを確認します。お薬を変更しても治らない場合は膨らんだ歯茎を切除することがあります。

3−2.妊娠したら急に歯茎が腫れた妊娠性歯肉炎

妊娠中期に女性ホルモンの影響で歯茎が腫れやすくなることを妊娠性歯肉炎といいます。妊娠性の歯肉炎の後、そのまま放置してしまうと重度の歯周病に移行してしまうことが多いので、妊娠中には定期的に歯医者でクリーニングをおすすめします。

3−3.赤ちゃんの歯茎が腫れ上がっている急性ヘルペス性歯肉炎

乳幼児に多くみられ、ヘルペスウイルスによって感染する歯肉炎で歯肉は鮮やかな赤色になり、お口の中に白色や黄色の小さなつぶつぶがたくさんでき、痛みがあります。歯肉炎の部分は歯ブラシで磨いてもあまり効果がないため、ガーゼで周りの汚れを拭うくらいにし、洗口剤や軟膏などで対処します。小児科を受診し、1週間程度で改善することが多いです。

3−4.口臭がある急性壊死性潰瘍性歯肉炎(きゅうせいえしせいかいようせいしにくえん)

急に歯と歯の間の歯茎に潰瘍ができて、痛みや口臭を伴う歯肉炎です。原因はよくわかっていませんが、プラーク、ストレス、喫煙、栄養障害などが考えられています。2,3日で急速に進行します。症状が出ている間はお口のなかを清潔に保つようにしますが、歯肉炎部は痛みが強いためガーゼなどで、拭う程度にします。感染防止のために抗生物質や痛み止めが処方されます。

3−5.痛みが強い慢性剥離性歯肉炎(まんせいはくりせいしにくえん)

歯茎の表面の皮がはがれ落ちて、痛みを伴う歯肉炎です。歯茎がヒリヒリしたり、水泡が出来ることもあります。主に、生理不順あるいは閉経後の女性に多くみられ、2、3本の部分的な歯茎から全体の歯茎に広がっている場合もあります。歯ブラシが当たっただけでも痛みがあるため、柔らかい歯ブラシで優しく磨きます。完治するのは難しく再発を繰り返します。

注意点

歯茎は体調の変化が敏感に現れる場所です。風邪を引いたり、疲れが出たりするだけで歯肉炎になることも有ります。口の中を常に清潔にしておくことで、体調の変化にも耐える歯茎になります。また、特殊な歯肉炎は歯磨きやクリーニングでは改善しません。内科や産婦人科などとの連携をしながら悪化を防ぐ必要があります。

歯医者選び方のポイント

・虫歯治療の前に口の中の環境を整えてから治療を行う歯医者

歯茎が腫れていたり、歯石が付いている口の中で治療を行っても精度の高い治療を行うことは出来ません。虫歯治療の前に歯周病の治療を行い、出血のないキレイな口の中で治療をしてくれる歯医者は、丁寧な治療をしてくれます。

・予防歯科を行ってくれる歯医者

虫歯は口の中を虫歯の出来ない環境を作らない限り、また新たに虫歯ができます。歯は削れば削るほど寿命が短くなります。ただ、削って詰めるだけの治療でなく、虫歯ができないようにする予防歯科を進めてくれる歯医者がおすすめです。

・写真や動画で自分の歯の状態を説明してくれる歯医者

歯医者で鏡を見て、どこが虫歯なのか説明されてもなかなかわかりにくいものです。虫歯の状態を写真や動画で説明してくれる歯医者はなぜ削らなくてはいけないのか、治療によってどのようになったのかをわかりやすく説明してくれる歯医者です。お互いに認識の違いでトラブルになるよりもしっかりと証拠を残してくれる歯医者がおすすめです。

アフターケア・予防

歯肉炎の主な原因は歯垢です。歯磨きやデンタルフロスの使い方をマスターすることが一番の予防法です。また、歯垢を毎日完璧に取れる方はいません。定期的に歯医者でチェックしてもらうことで、いつも磨き残してしまう部分を指導してもらったり、取りきれていない部分をクリーニングしてもらうことが大切です。