受け口治療を徹底解説!歯列矯正を開始する時期、費用、方法について

受け口とは下の歯が上の歯より前に出ていることです。受け口は噛み合わせの問題だけでなく、「顎が出ている」という審美的や精神的な問題で悩まれる方も多いのです。

受け口は主に歯列矯正で治す方法と、外科処置と歯列矯正を併用して治す方法があります。

歯列矯正で治すには子供の時から成長をコントロールして極力、受け口が悪化しないようにします。しかし、極端に前後の顎のズレが大きくなると歯列矯正だけでは対応できず、外科的な治療も加える必要があります。

今回は受け口の時の矯正治療の時期や方法などをお伝えします。ぜひ、参考にしてください。

受け口を治療する時期と方法

受け口の治療はいつから開始すればいいのかと質問を多く受けますが、実はあまり決まりはありません。乳歯の時に治っても永久歯の時に戻ってしまったり、治療しなくても自然に治ってしまう方もいます。また、重度の受け口の方は初期の治療でも治らない場合があります。治療の開始時期はレントゲン等の検査の上、矯正医とよく相談して、決めるようにしてください。

上顎は頭についている骨のために先に成長します。下顎は腕や足と同じように成長期に急激に成長します。そのため受け口の方は成長すればするほど悪化してしまいます
そのため治療も早い時期に行うのではなく、成長を見極めながら行う必要があります。

年齢 軽度の治療法 重度の治療法
4〜9歳 ムーシールド 成長のコントロール
12〜16歳 ブラケット矯正 成長待ち
18歳以上 ブラケット矯正 外科矯正

4〜9歳:子供の時から始める治療

乳歯列の時は主にムーシールドなどマウスピースタイプのものを使います。前歯が永久歯に交換後でも受け口が残る場合にはブラケット装置などを前歯につけることが多くなります。

【時期】4~9歳、乳歯や永久歯の前歯が出てきて受け口になってしまった頃に行います。
【費用】成長期の治療まで25万円~40万円程度です。
【期間】開始から1.5年から2年程度まで一時的に治療を行い、その後乳歯の永久歯への生え変わりや成長を待ちます。必要であれば成長が止まってからブラケットの治療に進みます。

・治療内容:7歳からムーシールドを1年半使用しています。その間、正しい舌の位置や口の周りのトレーニングをし、ムーシールドを外しても後戻りを防ぐようにします。また、前歯のねじれを改善するために半年間、前歯にブラケットをつけます。
・リスク:成長とともに下顎も成長するため、受け口が戻る場合があります。
・副作用:特にありません。

マウスピースで舌を上に持ち上げるムーシールド

ムーシールドは上の前歯を内側に押している上唇の力を排除し、下顎の前歯を押している舌を上に持ち上げる装置です。日中1時間と寝ているときに使う装置です。

口の周りの筋肉をトレーニングするMFT

口腔筋機能療法MFT(Myofunctional therapy)とは、舌や口の周りの筋肉を正しく使えるように練習することです。受け口の方は舌の位置が低いことが多く、上顎に接する正しい位置に舌を上げるトレーニングをします。このことによって上顎を広げ、舌が下顎の前歯を押すことを抑えます。

マウスピースで筋肉と歯並びを整えるT4K


T4Kは口の周りの余分な筋肉の力を排除して、歯並びも一緒に整える装置です。日中1時間と寝ているときに使う装置です。

狭くなってしまった上顎を広げる拡大装置

受け口の方は上顎の成長が足りない場合が多いので、上顎を大きくする装置を使います。横や前方に広げて、出来るだけ下顎の大きさに合うところまで大きくしていきます。

部分ブラケット

部分的にブラケット装置をつけて前歯のデコボコや噛み合わせを改善します。一時的に前歯を改善し、その後は生え変わりを待ちます。

乳歯の受け口から永久歯への生え変わり変わりをわかりやすく動画にまとめましたので、こちらをご覧ください。

12〜16歳:中学生くらいから始める治療法

成長のスパートが止まってから治療を開始します。年間10cmも身長が伸びている場合は、下顎の成長も大きいので治療の開始を待ちます。身長の伸びがほぼ止まってから治療を開始した方が、矯正装置をつけている期間が短くなります。

【時期】12~16歳、すべての永久歯が生えそろった時期に開始します。
【費用】60万円~80万円程度です。
【期間】歯を動かす期間は2年から3年程度です。かみ合わせの変化が大きい成長期が終了後から開始します。下顎の成長は身長が伸びる同じ時期に大きくなるので、かみ合わせを整えてもすぐに変わってしまいます。そのため成長が落ち着いてから治療を開始します。

すべての歯にブラケットをつけて治療します

ブラケットは歯の表面に1つずつ付けて、ワイヤーを使って動かしていく装置です。細かい歯のねじれや傾きなどを治していきます。

・治療内容:歯の表面につけるブラケット装置で矯正治療を行います。期間は2〜2.5年程度です。
・リスク:成長とともに下顎も成長するため、受け口が戻る場合があります。
・副作用:歯を動かす期間や距離が長くなると歯の根が短くなることがあります。

18歳以上:受け口が重度の方の治療法

受け口の状態によって、ブラケット治療で行うか、外科矯正を行うか判断する必要があります。外科矯正で行う場合には健康保険内で行うことができます。

【時期】18歳以上:成長が止まってから行います。
【費用】保険診療が適応され3割負担の方で70万円程度です。
【期間】歯を動かす期間は3年から4年程度です。

上下の顎の大きさが著しく違う場合は外科矯正を行う

あまりにも上下のあごの大きさが違いすぎると歯を動かすだけでは対応できないために外科的な処置も使って矯正をします。例えば下顎があまりにも大きい場合は顎を下げる処置をして上下のあごのバランスを取ります。完全に成長が止まった20歳前後から開始します。

・治療内容:歯の表面につけるブラケットと顎を外科的に後ろに下げる治療を行います。治療期間は3年程度、外科手術は1週間程度の入院が必要です。
・リスク:外科処置は全身麻酔下で行いますので体への負担は多少かかります。また、顎の麻痺が出る可能性があります。
・副作用:歯を動かす期間や距離が長くなると歯の根が短くなることがあります。

受け口の治療で受けられるメリット

受け口治療の大きなメリットは見た目を改善できることです。受け口で悩まれている人の多くはコンプレックスを抱えています。前歯の受け口が治れば、表情も明るくなります。

しっかり噛めるようになる

受け口の治療をすることによって数本しか噛んでいなかったかみ合わせが、すべての歯でかめるようになります。若いときは体の柔軟性や抵抗力がある為、かみ合わせが悪くてもあまり影響が出ません。30代を過ぎると歯周病や虫歯、顎の変形などかみ合わせがいい人に比べ悪化しやすい傾向にあります。

 美しさを手に入れる

歯にコンプレックスを持っている方はとても多いです。受け口の治療によって健康的な美しさが手に入ります。被せものでもある程度は改善できますが、自然の美しさにはかないません。自分の持っているものを最大限に生かすことによって自然の美しさを引き出すことができます。

 正しい成長方向に持っていくことができる

子供の受け口の治療によって、本来持っている正しい成長方向に向かうようにします。子供の成長を止めることは出来ません。しかし、本来持っている正しい成長方向へ導くことは可能です。

受け口になる原因

多くの場合は遺伝的要素が多いです。親の顔に似るためです。癖による受け口は早期に改善できれば受け口も自然に治ることがあります。

親の顔に似る遺伝

顔の全体的な形は親に似ます。丸い、細い、四角いなどおおもとの形は遺伝子によって決まります。また、かみ合わせや歯の形や大きさなども似てきますので、親が受け口やその傾向がある場合は似てくることが多いのです。それに加え癖や口の周りの筋肉の動き、舌の位置が加わるとより受け口が悪化することがあります。

舌の位置が低い

母乳を吸う時は上顎に舌を押し当てて乳首を強い力で吸い込みます。舌の筋肉で上顎を押し広げるために、上顎と舌の形はほぼ同じになって成長していきます。しかし、舌のすじが短くて上顎に付けられないと、舌の力で上顎を大きくすることができずに受け口になります。また、舌がいつも下顎を押してしまうことによっても受け口になることがあります。

口呼吸によって鼻の機能が低下する

体の器官は使わないと小さくなっていきます。口呼吸の方は鼻や鼻の空洞が機能していないために、鼻の骨と一体化している上顎が小さくなり、受け口になることがあります。また、口から多くの空気を取り入れようとして、舌の位置を下げて下顎を前に押してしまうことも原因の一つです。

受け口をそのままにすると

受け口を治療せずにそのままにすると、噛み合わせがいい人と見比べ、噛む面積が少なくなり、噛んでいる歯に負担がかかります。年齢が若い時には問題にはなりませんが、歯周病が関係してくる年齢になると、歯の揺れや喪失が早まります。

虫歯や歯周病になりやすくなる

歯と歯の間や噛む面に隙間が多くなるため、汚れが残り虫歯になりやすくなります。噛める歯は負担が過重になり、歯周病が悪化しやすくなります。

胃腸に負担がかかりやすい

若いときには体が丈夫でも、年齢とともに弱くなってきます。噛む面積が少ないと胃腸に負担がかかってしまいます。

顎関節症になりやすい

受け口によってかみ合わせが悪いと顎に負担がかかり、顎関節症になりやすくなります。

虫歯治療が難しくなる

ブリッジや入れ歯の治療をするときにかみ合わせのバランスがとりにくくなり、詰め物や被せものが取れやすくなります。

 まとめ

下顎は成長とともに伸びるため、成長すればするほど受け口がひどくなってしまいます。一時的な改善にとらわれず成長のタイミングをみながら焦らずに治療を進める必要があります。