歯科検診で言われた「先天性欠如」って何?原因と年齢別の最適な治療法

歯の先天性欠如とは正常な歯の数より、少ない歯のことを言います。
永久歯は親知らずを除くと28本あります。しかし、実は近年永久歯がもともと少ない先天性欠如の方が増えているのです。日本小児歯科学会が、全国の7歳以上の子ども約1万5000人を調べた結果、10人に1人の割合で、永久歯が生えない子どもがいると発表しました。いつまでも乳歯が生え変わらなかったり、6歳臼歯が出てこなかったりすると要注意です。

歯が足りない先天性欠如(けつじょ)とは

歯の先天性欠如とは一言で表すと本来あるべき永久歯がないことです。永久歯は通常、親知らずを除くと28本になりますが、生えて来るべき永久歯が生えて来ないことを先天性欠如と言います。乳歯の下では永久歯になるための歯の卵のようなもの(歯胚/しはい)が作られますが、何かの理由で歯胚が出来ない場合は永久歯が萌出せず、先天性欠如歯となります。また、全ての歯がない場合は無歯症とも言います。

レントゲン写真:他の歯は永久歯に生え変わっているが、先天性欠如の部分は乳歯が残っています。

拡大:乳歯の根は他の歯より短くなっています。

先天性欠如歯の原因は

先天性欠如歯の原因は明らかになっていませんが、遺伝や妊娠中の栄養欠如、全身疾患、薬物の副作用などの原因が考えられています。しかし、その因果関係ははっきりしていません。また、不要な歯が淘汰されつつあるとする説もあります。

先天性欠損歯が多くみられる場所

日本小児歯科学界の調査によれば、上顎(約.4.37%)より下顎(約7.58%)と発生頻度が高く、部位的には左右共に第二小臼歯(約3%)と側切歯(約2%)に多く認められました。

生え変わるはずの乳歯はそのまま残る

顎の骨の中で永久歯の歯胚が育ってくると萌出を始めます。その上にある乳歯の根が吸収されて短くなり、やがて抜け落ちます。このように歯は生え変わりますが、先天性欠如の場合、乳歯の根は吸収されませんので、大人になっても永久歯が生えるべき場所に乳歯が残ったままになります。ただし、乳歯は虫歯になりやすいのと、徐々には根が吸収されるので20歳から30歳までには自然に抜けてしまうことがほとんどです。

年代別発現率

日本小児歯科学界の調査によれば発現頻度は、最近生まれた子どもほど高い傾向にありました。出生年代別の発現率は1985年以前が9.62%、1986-1995年が10.08%、1996年以降では10.50%と微増しています。ただしその差は0.9%未満であり、上の歯に限れば1996年以降の発現頻度が最も低い結果になりました。

先天性欠如の治療法

先天性欠如の治療法は年齢によって異なります。20歳以下の矯正治療適齢期ではできるだけ、歯を動かして自分の歯で噛み合わせを作ります。30歳以降で骨が固まってきている場合は歯を動かさずインプラントなどの補綴治療を行います。

11歳以下の子供の治療法

先天性欠如の歯が発見されても経過を見ていく場合がほとんどです。顎のバランスや咬み合わせが悪い場合は成長期の矯正治療を行いますが、乳歯の抜歯は行わず顎の成長を誘導してあげるだけにします。

症例:下の前歯は1本先天性欠如になっているが自然な歯並びになっています。

12歳以上で20代までの矯正移動が可能な年齢の治療法

中学生くらいになると全体的な矯正治療が可能になってきます。残っている乳歯は20歳から30歳までには自然に抜けてしまうため、この時に抜歯をし、永久歯を移動させてすき間を閉じて歯並びを改善させます。

症例:3本の先天性欠如になっています。乳歯を抜歯し、歯列矯正で歯の隙間を閉じます。

治療前:矢印は乳歯です。

治療後:乳歯を抜いた隙間を閉じます。

  • 治療内容:先天性欠如部分の抜歯と右上の永久歯1本を抜歯し、上下左右の歯の数を揃えます。全体的な歯列矯正を行い抜歯した歯の隙間を閉じます。
  • 期間:2年程度です。
  • 費用:総額750,000円 / 内訳 検査30,000円、基本治療費600,000円、処置料5,000円(保険適用外)
  • リスク:外傷などがあった歯は歯列矯正で歯が動かないことがあります。
  • 副作用:歯列矯正後にリテーナー装置を使わないと閉じた隙間が開いてくることがあります。

30歳以降の治療法

矯正の適齢期に抜歯をせず残した場合、30歳くらいに乳歯が自然に抜けてしまうか、咬み合わせのずれが出てきます。その場合、インプラントやブリッジ、入れ歯、歯牙移植などで咬み合わせがずれないように治療をします。

症例:長期間乳歯が残っていましたが、抜けてしまいました。

先天性欠如の部分にインプラント治療を行いました。

・治療内容:乳歯が抜けてしまった部分にインプラント治療を行います。
・期間:4ヶ月程度です。
・費用:総額690,000円 (2本)/ 内訳 検査30,000円、基本治療費330,000円(1本)(保険適用外)
・リスク:インプラントは必ず骨につくわけではありません。場合によっては抜けてしまうことがあります。その場合、再度入れ直す必要があります。
・副作用:インプラントは治療後、定期的なメンテナンスを行わないと歯茎が腫れることがあります。

治療法と費用

子供や年齢が若いうちは歯列矯正で先天性欠如の部分を補います。費用は通常の矯正費用と同程度です。大人になってからはインプラントが推奨されます。前後の歯が治療されていればブリッジ治療を行ってもいいのですが、削られていない歯の場合はブリッジによって周りの歯の寿命を短くしてしまいます。

治療法 費用
11歳以下 咬合誘導 30万円程度
12歳以上20代まで 歯列矯正 80万円程度
30以降 インプラント 35万円程度