口が開かない・痛い!顎関節症のつらい症状と歯医者で受けられる治療法

顎の痛みや口を開けると音が鳴るなど経験したことがある方も多いのではないでしょうか。「あごが痛む」 「口が開かない」 「あごを動かすと音がする」 の3つの症状が一つでも当てはまると顎関節症と呼ばれます。

日本人の2人に1人は何らかの顎関節症の症状の経験があると言われています。しかし、多くの場合、顎関節症は時間とともに自然に治ってしまうことが多い病気なのです。また、ストレッチやマッサージなどで関節を伸ばしたりすることによって治る場合もあります。

しかし、顎の関節に変形が起こってしまったり、うつ病やリュウマチなど体の病気と一緒に起こっていると顎関節症の症状が長引いてしまう方もいます。

今回は顎関節症の症状と治療法についてお伝えします。

顎関節症とは

顎(あご)の関節やその周りの筋肉などに「痛みが出る」「音が鳴る」「口が開きにくくなる」といった症状が出ることを顎関節症と呼びます。

顎の関節は、耳の穴の前方1センチくらいのところにあり、頭の骨に左右の関節が筋肉や靭帯(じんたい)によってぶら下がっている状態です。この顎関節に負担がかかったり、形が歪んだりしてくると、顎関節症の症状が出てきます。

顎関節症の原因は1つではなく、様々な要素が絡み合って起こります。以前はかみ合わせが原因と考えられていましたが、それは多くの原因の1つで、「噛み合わせが悪い⇒顎関節症」ではないことが分かってきました。

顎関節症の症状は10歳代後半から増加し、20~30歳代で最大になります。その後は年齢が増えるとともに少なくなってきます。

顎関節症の症状と治療法

顎関節症には主に3つの症状があります。顎がなる・顎や顎の周りの痛み・口が開かない、です。これらの症状と治療法について紹介します。

ーー手術をするのかーー
一般的に顎関節症の治療で手術はほとんど行われません。顎の状態によって稀に行うことがあります。

ーー治療場所ーー
顎関節症の専門的な治療を行なっている歯医者、口腔外科、大学病院などで行われます。

口を開け閉めしたときに音が鳴る方の症状と治療法

【症状】

顎を動かすとカクカク、ジャリジャリ、ミシミシなどの音がします。顎の関節には関節円盤(かんせつえんばん)という軟骨があり、この軟骨が擦れたり、動いたりするときに音が出ます。

【治療法】

症状が音だけで痛みや口が開かないなどの症状が伴っていなければそのまま経過をみることが多いのですが、音が急に変わったり、あまりにも大きな音が出るようであればマッサージを行うことがあります。ただし、治療によって完全に音をなくすことは出来ないこともあります。

【注意点:日本顎関節症学会推奨】

現在は歯を削って行うかみ合わせの調整は、一度削ると元に戻すことが 困 難 で す(天然の歯の場合は、元に戻りません)。また、重篤な症状のきっかけになることがあります。そのため、日本顎関節学会は、初期治療として咬合調整は行わないことを推奨しています。

顎やその周りの筋肉の痛みの症状と治療法

【症状】

口を開けたり閉めたりする動作や食事の時に、顎や顎の周りの筋肉が痛くなります。これは顎の周りの部分に炎症が起こっているため、動かすたびに痛みとして感じます。

マウスピース(ナイトガード)による治療

寝ている時の歯軋りや食いしばり、顎の関節への負担を軽減するためにマウスピースを使います。痛みが強い場合は口の中にマウスピースを入れ、顎の関節に強い力がかからないようにします。多くは夜間に入れておくナイトガードと呼ばれるものを使いますが、痛みが強い場合には日中も使います。

【費用】

マウスピースの費用は保険診療3割負担の方で5千円程度、自費診療の場合は15万円〜25万円程度です。

赤外線レーザー治療

痛みのある部分に赤外線レーザーを当て、血行を促進し、痛みを軽減させます。レーザーは深い部分まで効果が浸透します。定期的にレーザーを当ます。

【費用】

保険診療3割負担の方で数百円程度です。自費診療の場合は一回5千円〜1万5千円程度です。

ボトックス注射で痛みのある部分を麻痺させる

ボトックスはボツリヌス菌を無毒化させたものです。痛みのある部分に注射することで麻痺させ、痛みを軽減させます。効果は数カ月程度続きます。

【費用】

自費診療のみで1回2〜5万円程度です。

口を開閉する痛みがある時の自宅での対処法

口の周りのマッサージを行う

原因は口を開けたり、閉じたりするための筋肉のこわばりや疲労によって、痛みとして現れます。いわゆる筋肉痛の状態です。口を開けたり閉じたりする筋肉や周囲のマッサージを行うことによって筋肉の痛みを和らげます。

60秒間1日3回程度、痛くないように行います。特に血行が良い、お風呂に入っている時が最適です。時間のない方は少しの時間でも毎日続けることが重要です。

顎のストレッチを行う

ゆっくりと顎を大きく開け顎の周りの筋肉を伸ばすようにします。顎関節症のガイドラインでは口を大きく開けた時に最大が40mm以上で痛みがないことが正常で、35mm以上であれば多少の痛みであれば経過観察とされています。お風呂に入っている時や体が温まっている時に顎関節のストレッチを行い、40mmを目標に大きく開けるように筋肉や関節を伸ばしてみてください。

【ポイント】

顎関節周辺の筋肉のマッサージは整体やカイロプラクティックでも行われています。特に肩や首にかけてのマッサージは歯医者では行われることが少ないため、顎関節治療を行っている整体などのマッサージがおすすめです。

痛みが強い時には痛み止めで対応

顎関節は食事や話すときに必ず使う関節です。我慢できる程度の痛みであればいいのですが、痛みが強くて食事も取れないという場合には痛み止めで対応します。痛みは顎関節の炎症によって起こります。そのため非ステロイド性消炎鎮痛剤のロキソニンやボルタレンなどで炎症を抑えながら痛みを抑えます。

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漢方薬で血行を促進する

漢方薬には顎関節症に効く薬があります。主に血行を促進し、痛みを軽減します。

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口が開きにくい方の症状と治療法

口は普通4cm以上,縦に指3本分程度開きます。顎関節症になると口がこれよりも開きにくくなり、指が1本程度しか開かなくなる方もいます。

顎関節には関節円板と言って頭の骨と顎の骨の間に軟骨があります。この軟骨の動きが悪くなると顎を動かすたびにカクカクと音がなります。関節円板はずれるだけの時もあれば、ずれたまま元に戻らなくなってしまうこともあり、その時に口が開きにくくなります。
顎関節や関節円板は人工関節がないため、関節円板がずれてしまったとしてもその状態で使っていかなければなりません。開口訓練は関節円板がずれた状態でも口を開けられるようにトレーニングする方法です。

マニュピレーション(開口訓練)

口を開けるようにするトレーニングを行います。専門的な知識を持った歯科医師が少しずつ口が開くようにトレーニングやマッサージを行います。

【費用】

保険診療3割負担の方で数百円程度です。自費診療の場合は一回5千円〜1万5千円程度です。

自宅で行う開口訓練

顎を前に出して「アイーン」の形にして口を開け閉めします。顎が前に出た状態で運動させることによって徐々に口を開けるようにしていきます。

もう一つは両方の人差し指と中指を下の歯の前歯に掛けて前に引っ張りながら力をかけていきます。20秒間1日10回程度、痛くないように行います。特に血行が良い、お風呂に入っている時が最適です。

顎関節症を悪化させないための日常生活での注意事項

意識的に口を動かすようにする

顎の動く範囲を広げるために意識的に口を動かすようにします。痛みが強い時には安静が必要ですが、それ以外は話したり、ガムを噛んだりできるだけ顎を動かすようにします。

うつぶせで寝ない

うつぶせで寝ると常に顎に負担がかかってしまいます。仰向けで寝て、できるだけ枕も低いものにして、食いしばりも防止するようにします。

頬杖をつかない

頬杖は顎関節を強く圧迫してしまいます。また、携帯電話を首で抑えたり、肩や首に負担がかかる体勢もできるだけ控えるようにします。

リラックスして過ごす

ストレスや精神的な落ち込みは顎関節症を悪化させることがあります。顎関節症は精神的なものからくる場合もあります。ストレスをためずリラックスして生活することによって顎関節症の改善が認められます。

長時間の携帯やスマホの使用を控える

長時間同じ体勢や、首を傾けた体勢をとり続けると顎関節に負担がかかります。また、頬杖やうつ伏せ読書など集中してしまうと顎関節の負担がかかった状態で、気づかず時間が過ぎてしまいます。

片側だけで噛まずに両方で噛むようにする

癖や左右どちらかが噛み合わせが悪い、左右どちらかの部分入れ歯、痛みのある歯がある、歯の治療途中などにより、それを避けるように一方のみで噛むと、片方に過度の負担がかかり、顎や筋肉にダメージがかかります。

左右両方で噛むように心がけます。また、治療途中の歯は最後まで治療し、左右かむ力が違う治療、特に部分入れ歯などはできれば左右均等に噛めるブリッジやインプラントに変えます。

寝ている時の歯ぎしりや睡眠不足

精神的な緊張は筋肉も緊張させ、歯ぎしりや食いしばりの原因にもなり、顎関節に大きな負担をかけます。また、顎関節症により3ヶ月以上痛みが続く場合は、うつ傾向が強いことが最近の研究で分かってきました。

ストレス発散を心がけ、睡眠と休養を確保しましょう。また、筋肉の緊張をとるために温かいお湯に浸かったり、顎の周りを温湿布などで温めて顎のマッサージをしたり、口をゆっくり開け閉めして筋肉のストレッチをすることも効果的です。

スポーツや音楽のやりすぎ

ラクビーやボクシングなどコンタクトスポーツは顎の関節に衝撃が加わります。スキューバダイビングなどはレギュレーターを加え続けます。また、フルートやトランペットなども顎に力が入り続けます。カラオケの歌いすぎなどでも顎関節症の症状が出ることがあります。やりすぎには注意が必要です。

顎関節症の症状が長引く状態

打撲や交通事故で顎の関節に強い衝撃を加わった状態

喧嘩や転倒、交通事故などで顎の関節に強い衝撃が加わると顎関節症になります。強い力が顎の周りの筋肉に加わると、炎症反応が起こり、腫れや痛みを伴います。安静にしていれば徐々に引いてきますが、顎の関節のように食事のたびに動かさなければいけない場所は、炎症が引きにくいため、長期化することがあります。

強い力が加わった直後は冷たいタオルで痛むところを冷やします。また、骨折や脱臼(だっきゅう)している可能性もあるためレントゲンで確認します。

顎の関節が細かったり、小さい状態

もともと顎の関節が細かったり、形が悪かったりするとささいなきっかけで顎関節症の症状が出やすくなります。

うつ病や精神的な疾患を併発している状態

 顎関節症は機能的な原因と精神的な原因の場合があります。うつ病などの精神的な疾患を併発している場合は精神科通院を行いながら治療をする必要があります。

噛み合わせや歯並びが悪い状態

10代の時には歯並びが悪くても骨や筋肉が柔らかいため、顎の関節の症状として出にくいものです。20~30代になると骨や筋肉が硬くなり、歯並びの悪さが顎の関節に負担をかけます。しかし、歯並びは多くの原因のひとつで、「噛み合わせが悪い⇒顎関節症」ではありません。

矯正治療にも適齢期があります。できれば骨や関節の柔らかい10代の間に歯並びを改善することによって、将来の顎関節症の予防ができます。

まとめ

顎関節症は残念ながらこれで完璧に治ったということはありません。症状を見極めながら顎の関節を使っていくしかありません。もっとも有効なのは日常生活の過ごし方で、顎の関節に負担をかけないようにしておくことで自然治癒や再発を防ぐことができます。