痛みゼロで歯を治したい!無痛治療の主な方法と費用について徹底解説

歯の治療で強い痛みを経験したことがある方も多いのではないでしょうか。歯は他の体の組織と違い、神経が硬い歯の中に囲まれているので麻酔が効きにくい方がいるのです。そのため麻酔をしても治療中に痛みが出てしまうことがあります。

無痛治療とはこのような治療中の痛みを極力感じさせないようにするための麻酔法です。人によっては全身麻酔下で虫歯の治療を行うことがあります。痛みの感じ方や捉え方によって無痛治療の方法は異なります。また、麻酔法によっては治療を行える場所も決まってきます。

今回は無痛治療の方法についてご紹介します。

無痛治療とは

歯の治療の時の痛みは我慢できないものです。できれば無痛で治療が終わればいいと誰もが思います。歯医者での無痛治療とは歯の治療の時極力痛みを少なく行う方法です。一般的な歯医者で行える無痛治療は表面麻酔を行い、電動麻酔を使って部分麻酔を行う方法です。しかし、完全に痛みのない状態にするには全身麻酔や笑気麻酔を使って治療を行う必要があります。

状態 行える場所
全身麻酔 意識がない状態 大学病院、総合病院
静脈内鎮静法 半分眠った状態 一部の歯医者
笑気麻酔 半分眠った状態 一部の歯医者
伝達麻酔 顎の半分に麻酔 一部の歯医者
部分麻酔 一般的な麻酔 全ての歯医者
表面麻酔 針の痛みを軽減する麻酔 全ての歯医者
電動麻酔 細い針で麻酔をゆっくり入れる麻酔 多くの歯医者

費用について

保険診療内の治療であれば全ての麻酔は保険診療で行うことができます。しかし、保険診療外の治療は麻酔も保険診療では行うことができず数万円から数十万円かかります。また、全身麻酔や笑気麻酔などを保険診療では行なっていない歯医者もあります。費用は数万円から数十万円程度です。

無痛治療を実現する麻酔の種類

無痛の感覚は人によって異なります。麻酔の針の痛みや治療中の痛み、心理的な痛みなどあります。一般的な麻酔法から全身麻酔まで紹介します。

全身麻酔とは

協力の得られない子供や障がい者、極度の歯科恐怖症の方は全身麻酔にて治療を行います。全身麻酔で行うことによって治療中急に動いてしまうことによるケガなどを防止し、しっかりとした治療を行うことができます。全身麻酔による治療は歯科麻酔医が立ち会い、全身状態を管理しながら行うため、大学病院などの施設で行われます。

メリット:痛みを感じず無意識で治療を行うことができます。

デメリット:麻酔を全身に効かせるために歯科の治療のためだけでは麻酔の量が多く、体の負担が大きいです。

おすすめの治療

  • 口腔がんや嚢胞の手術など大きな外科処置を行う場合
  • 親知らずを4本まとめて抜歯する場合
  • インプラントを多くの数、一緒に行う場合
  • 歯科恐怖症・障がい者・低年齢児で治療の協力が得られない歯科治療

行える場所:一般の歯医者では設備がなく、大学病院や総合病院、ごく一部の歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方で2時間の麻酔で5,000円〜20,000円程度です。
   自費診療の場合10万円〜20万円程度です。

静脈内鎮静法とは

腕などから点滴剤に混ぜて鎮静剤を入れて、安静にしながら治療を行います。笑気麻酔よりも強い効果が期待できるので、インプラントを何本も一度に入れる大きな治療の時などに使われます。治療後は鎮静効果が収まるまで時間がかかるので、安静が必要です。

メリット

  • 半分意識がない状態で行うことができ、治療中の不安を軽減できます。
  • 全身麻酔に比べ麻酔が抜けるのが早く、入院する必要がありません。

デメリット

  • 麻酔科医や資格を有する歯科医師が行う必要があります。
  • 緊急時に適切な処置が取れる施設で行う必要があります。

おすすめの治療

  • 横向き親知らずの抜歯
  • インプラントの手術
  • 歯科恐怖症・障がい者・低年齢児など協力を得られない方の歯科治療

行える場所:大学病院や総合病院、一部の歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方の麻酔で1,000円〜3,000円程度です。
自費診療の場合5万円〜10万円程度です。

笑気麻酔(しょうきますい)

鼻から吸う吸入麻酔薬の一種で、亜酸化窒素(あさんかちっそ)といいます。全身麻酔の時にも使う麻酔ですが、効果がそれほど高くはないので、その他の薬と一緒に使います。
歯医者では親知らずの抜歯や歯科恐怖症などの方の鎮静法(ちんせいほう)として笑気麻酔を使います。半分眠っているような状態で治療を行えるために、治療中の不安もなくリラックスした状態で治療を行うことができます。
鼻から吸う吸入麻酔なので、腕に注射をしていれる麻酔と違い、比較的簡単に行うことができます。笑気麻酔の吸入を止めて数分後に元に戻るので、すぐに帰宅することも可能です。

メリット

  • 半分意識がない状態で行うことができ、治療中の不安を軽減できます。
  • 全身麻酔に比べ麻酔が抜けるのが早く、入院する必要がありません。

デメリット

  • 麻酔科医や資格を有する歯科医師が行う必要があります。
  • 緊急時に適切な処置が取れる施設で行う必要があります。

おすすめの治療

  • 横向き親知らずの抜歯
  • インプラントの手術
  • 歯科恐怖症・障がい者・低年齢児など協力を得られない方の歯科治療

行える場所:一部の歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方の麻酔で1,000円〜3,000円程度です。自費診療の場合5万円程度です。

伝達麻酔とは

主に下の歯の親知らず抜歯の時に使います。親知らずが骨の奥に埋まっていると通常の麻酔では麻酔効果が得られず、痛みが残ってしまうことがあります。伝達麻酔をすることによって麻酔が骨の中まで浸透し、時間も長く効かせることができます。麻酔の範囲は顎の半分ほどまで効き、時間は6時間程度です。麻酔が切れるまでは感覚がないので食事を控え、唇を噛まないように注意が必要です。

メリット

  • 麻酔が効きにくい、奥歯の治療で効果的に痛みを取り除くことができます。
  • 麻酔の量を少なくすることができます。

デメリット

  • 治療後、長時間麻酔が続きます。
  • 稀に神経に傷がつく場合があります。

おすすめの治療

  • 横向き親知らずの抜歯
  • インプラントの手術

行える場所:一部の歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方の麻酔で数百円程度です。

部分麻酔とは

歯科で使われる一般的な麻酔です。処置が必要な部分に注射で麻酔をします。麻酔の効果は2時間程度です。人によって麻酔の効果は違うので麻酔が効きやすい体質なのか、効きにくい体質なのか治療の前に歯科医師に言っておくと麻酔の量を調整してくれます。

メリット

  • 麻酔が必要な部分だけ麻痺させることができます。
  • 麻酔の量を少なくすることができます。

デメリット

  • 部位や体質によって麻酔が効きにくい人がいます。
  • 痛みや腫れが強い時には麻酔が効きにくいことがあります。

おすすめの治療

  • 一般的な歯科治療

行える場所:すべての歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方の麻酔で数百円程度です。

表面麻酔とは

表面麻酔は歯茎に麻酔薬を塗ることによって、部分麻酔の針の痛みを軽減する方法です。ほとんどの歯医者で行われています。

メリット

  • 麻酔の針を刺す時の痛みを軽減できます。

デメリット

  • 表面麻酔を行ったからといって、完全に針の痛みがなくなるわけではありません。

おすすめの治療

  • 一般的な歯科治療

行える場所:すべての歯医者で行うことが出来ます。

費用:保険診療3割負担の方の麻酔で数百円程度です。

電動麻酔とは

部分麻酔を極力痛みを少なくする方法です。電動で麻酔をするために、部分麻酔の時に使う針を細くし、ゆっくり一定の時間で麻酔をすることができます。部分麻酔は献血や採血などと違い、一瞬の痛みではなく、麻酔を入れている間、痛みが続くことがあります。細い針でゆっくり麻酔をすることによって痛みが少なくて済みます。

メリット

  • ゆっくりと麻酔を入れるので痛みを軽減できます。
  • 細い針を使うので痛みを軽減できます。

デメリット

  • 完全に麻酔の痛みがなくなるわけではありません。

おすすめの治療

  • 一般的な歯科治療

行える場所:電動麻酔がある歯医者で行うことが出来ます。

費用:麻酔の費用のみです。

症例:無痛治療で親知らずを抜歯する流れ

無痛治療を求められる患者さんで最も多いのが「親知らずの抜歯時になんとかしたい」という相談です。 ここでは相談の多い親知らず抜歯の時に使う笑気麻酔法と、どういった流れで親知らずの抜歯を無痛治療で行うのかについて詳しくみていきましょう。


STEP1 笑気麻酔についての説明を聞く

親知らず抜歯を笑気麻酔を使って行うことができるのか。行った場合、どのようなことに注意をしなくてはいけないかなど事前に説明を聞いておいてください。

STEP2 血圧計や脈拍計をつける

笑気麻酔中の体調の変化を確認するために、血圧計や脈拍計を体につけます。

STEP3 鼻に笑気を吸い込むためのマスクをつける

笑気麻酔は鼻からガスを吸い込むため、鼻にマスクをつけます。鼻呼吸ができない方は笑気麻酔を行うことができません。事前に担当医に話しておく必要があります。

STEP4 鼻からゆっくり深呼吸をする

鼻に付けたマスクからゆっくり深呼吸をするようにガスを吸い込んで行きます。4、5回大きく吸い込むと効果が現れてきます。徐々に気分が良くなり、体が温かくなってくる感じがします。

STEP5 部分麻酔などを行い、抜歯を始める

笑気麻酔の効果が現れはじめたら、親知らず周囲に部分麻酔を行います。いつも行っている部分麻酔に比べ、笑気麻酔をしているので痛みはそれほど感じずに行うことができます。その後抜歯を行います。

STEP6 治療後、マスクを外し体が元の状態になるまで安静にしている

治療後、笑気麻酔を止めると速やかに頭の中がスッキリしてきます。少し休んでから終わりになります。

笑気麻酔ができない方

笑気麻酔は全ての方にできる治療法ではありません。笑気ガスを鼻から吸い込むため鼻呼吸ができる必要があります。

鼻で呼吸することができない方

鼻で呼吸ができない方は笑気ガスを吸い込むことが難しくなります。そのため、笑気麻酔の効果が現れにくく、笑気麻酔を行うことができません。

中耳炎や目の手術をされた方

笑気ガスは血液に溶け、体の中の空間に溜まりやすくなります。中耳炎などで耳管が閉鎖している方は内圧が上昇時耳が痛くなることがあります。また、網膜剥離などの手術をするときにガスを使うため、このガスと笑気ガスが置き換わってしまいます。手術後のガスが無くなるまで笑気ガスを使うことができません。

極度に緊張感が強い方

笑気麻酔はすべての人に効果があるわけではありません。緊張感が強すぎたり、過呼吸になってしまうような方は効果が出る場合もあるのですが、一度使って合わない方はお勧めできません。

妊娠されている方

妊娠されている方は胎児への影響を考えて避けた方がいいです。

笑気麻酔があまり使われない理由

笑気がオゾン層破壊する

笑気は二酸化炭素の約300倍の温室効果を持っているガスで、オゾン層破壊の危険性が指摘されています。そのため環境的な配慮により笑気ガスを使わない施設が増えています。

保険の費用が安すぎる

笑気で虫歯や根管治療を行う場合、治療前後の準備に治療時間と同じ時間がかかってしまいます。そのため保険診療で虫歯などの治療を笑気で行うと、費用に対するコストがかかりすぎてしまうので、積極的に笑気をあつかっているところが少ないようです。そのため大学病院や専門の施設などのように補助金を受けている施設に集中してしまいます。