インプラントが残っている歯を守る!治療法・費用・歯医者の選び方

あなたは歯を一本失ってしまったとき、前後の歯を削ってブリッジにしようか、取り外しのできる入れ歯にしようか、それともインプラントにしようか、迷われているのではないでしょうか。

インプラントがブリッジや入れ歯と大きく違うことは、残っている歯に負担をかけないことです。逆に負担を軽くしてくれるので、残っている歯の寿命を延ばしてくれることです。

特に奥歯を一本失うと残っている歯の負担は40%以上高くなります。過剰な歯がかかり続けると、失った歯の周りから徐々に残っている歯も失われていくのです。

インプラントは歯を根まで失ってしまった場合(根が残っていれば差し歯になります)、顎の骨に穴を開け、人工歯根であるインプラントを入れて、冠を被せて元の歯の状態のようにしていく治療法です。
そのため顎を支える歯がインプラントによって増えるために、残っている歯の負担も軽くなるのです。

インプラントの手術は一般的なものであれば20分程度で終わります。多くの場合、腫れや痛みも少なく、ブリッジの治療で歯を削るよりも早く終わってしまうのです。

もちろん全てのインプラントが成功するわけではないので心配な面もあるとは思いますが、将来にわたって自分の歯で噛むためにはとても有効性の高い治療です。

ぜひ、残っている歯を削ったり、失う前にインプラントを検討されてみてはいかがでしょうか。

目次

1.インプラントとは

インプラントとは、虫歯や歯周病、怪我などで歯が失われた際に用いる補綴治療です。例えば歯を根まで失ってしまった様な場合、顎の骨に穴を開け、人工歯根であるインプラントを入れて、冠を被せて元の歯の状態のようにしていく治療法です。
後ほど詳しく触れますがインプラント治療の主なメリットは以下の様な点です。 ・失った歯の周りにある健康な歯を削らなくてよい ・歯の負担が少ない ・再治療・メンテが簡単 ・自然な仕上がりになる ・機能性が高い この様に、仕上がり・手軽さ・機能面など「自分の歯で噛む」食生活を実現するには、とても有効性の高い治療法です。
ここでは入れ歯やブリッジとの違い・動画を使った治療の流れやイメージ・治療回数や細かな費用イメージまで徹底的に解説していますので参考にしてみてください。

2.歯を一本を失った時の治療法/インプラントとの比較

2−1.ブリッジとの比較

インプラントは失った歯の部分だけで治療を行うことができます。ブリッジは前後の歯を削ったり、噛み合わせの負担を前後の歯にかけることになります。また、トラブルが生じた場合繋がっているすべてのブリッジを外す必要があります。
しかし、ブリッジはインプラントのように外科処置を必要とせずに噛みごごちを保てるため、インプラントが心配な方には有効な治療法です。

2−2.入れ歯との比較

インプラントは歯を骨に固定しているために取り外す必要がありません。しかし、入れ歯は毎食後自分で取り外し、洗う必要があり、硬いものや粘着性のものは噛むことができません。
インプラントのように外科処置をせず、ブリッジのように歯を削りたくない方には有効な手段です。現在は見た目に入れ歯とはわかりにくいスマイルデンチャーがあるため、若い人でも使われている方が多くいます。

3.インプラント治療の流れ

まずはインプラント治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。かなり具体的にイメージが湧くと思います。

step1 レントゲンで3次元的に骨の状態を確認する

インプラントを入れる部分の骨をCTレントゲン撮影します。骨の厚みや幅、神経や血管の位置を3次元的に確認し、インプラントの長さや太さを決め、計画を立てます。多くの場合、インプラント用のシミュレーションソフトを使い、計画した場所にインプラントが入るように処置をします。

step2 インプラントを骨の中に入れる

1本のインプラントであれば、歯の治療で使う部分麻酔を行い、20分程度で終わります。痛みや腫れはほとんどない場合が多いです。骨が少なくなっていて、同日に骨の移植などを行う場合は腫れることがあります。

step3 インプラントが骨と付くのを待つ

インプラントは顎の骨と結合し、噛む力に耐えることができます。インプラントを入れてから3ヶ月程度するとインプラントが安定し、硬いものを噛んでも抜けることはなくなります。

step4 インプラントに土台や冠をつける

インプラントが骨と結合した後、インプラントの土台であるアバットメントや被せ物をつけていきます。噛み合わせを確認しながら徐々に硬いものを噛むようにしていきます。

step5 メンテナンスをする

インプラントを長く維持させるにはメンテナンスが必要です。ご自身で行う毎日の歯磨きやデンタルフロス、定期的な歯医者でのクリーニングを行い、インプラントの周囲に細菌がつかないようにしていきます。

4.インプラントのメリット

4−1.周りの歯を削らない

歯を失った部分をブリッジ治療で行うと周りの歯を削る必要があります。歯は一度削ってしまうとやり直し続けなければいけません。インプラント治療を行うことによって残っている歯を削らず、綺麗な状態で維持することができます。

4−2.周りの歯の負担を軽減できる

歯を失った部分に入れ歯やブリッジ治療を行うと、残っている歯に大きな負担がかかり寿命が短くなってしまいます。インプラント治療をすることによって残っている歯の負担を軽減し、周りの歯が揺れてきたり、割れてしまうのを防ぐことができます。

4−3.シンプルな治療ができる

ブリッジや入れ歯の場合、土台にしている歯が虫歯や歯周病になってしまうと全てをやり直す必要があります。3つ繋がっているブリッジだと、3つの被せ物を全て外してやり直さなくてはいけません。インプラントの場合はそれぞれ独立しているものが多いので、悪くなった部分だけを治療すれば済みます。

5.インプラントのデメリット

5−1.外科処置が必要

インプラントは骨の中に人工歯根(インプラント)を埋め込む治療です。部分麻酔を使用した外科処置が必要です。場合によっては腫れや痛み、内出血などが起こることがあります。また、手術の時、大きな神経や血管を傷つけてしまうと出血が止まらなかったり、麻痺が残ってしまうことがあります。

失敗しない外科処置の対処法

腫れや痛みを軽減するためにサージカルガイドというものを使います。サージカルガイドはインプラントの治療前にCT上でインプラントの位置や神経、血管を確認して、それを写し込んだガイドを作ります。サージカルガイドを使用することによって切開や縫合、出血をほとんどなくすことができます。

5−2.全てのインプラントが骨と付くわけではない

インプラントは骨の中に入れた後、インプラントと骨が付いた状態になり噛むことができます。しかし、稀にインプラントが骨と付かずに動いてしまうことがあります。特に悪い状態の歯を長期間そのままにしておくと抜歯をしても歯の周りの骨が元の状態に戻りにくく、インプラントを入れても歯とつかないことがあります。

顎の骨がない場合の対処法

周りの骨が大きく溶けてしまうような歯は早期に抜歯をしたほうがいいです。インプラント治療をする際は人工の骨や自分の骨を移植し、骨を作ってからインプラントを行うようにします。

5−3.重度の糖尿病や骨粗鬆症の方は出来ない

インプラント治療は全ての方にできる治療ではありません。重度の糖尿病や骨粗鬆症の方はインプラント治療をしてもインプラントと骨が付かなかったり、治療後に歯茎や骨が治りにくかったりします。

体の状態を改善する対処法

かかりつけの医師と相談の上、インプラント治療が可能かどうかの判断をします。糖尿病がコントロールされHbA1cの値が外科的な処置に耐えられる値まで下がっているか。骨粗鬆症の薬を止めても大丈夫な骨の固さなのかなど検討した上で治療を行う判断をします。

5−4.メンテナンスしないと歯周病になる

インプラントはメンテナンスを怠ってしまうと歯周病で抜けてきてしまうことがあります。インプラントも歯と同じように歯石が付きます。インプラントは歯よりも防御する力が弱いため、インプラントの周りに細菌が残っていると、歯茎が腫れたり、膿が出たり、揺れてきたりすることがあります。

インプラントを長持ちさせる対処法

自分で行うことはインプラントの周りの汚れが残らないような磨き方を習慣にすることです。また、歯石や汚れが残ってしまう部分は定期的に歯医者でクリーニングを行い、インプラントを歯周病から守る必要があります。

5−5.時間がかかる

インプラントは治療をしてすぐに被せ物が入るものではありません。CT検査や噛み合わせの確認、インプラントが骨と付くのを待つ期間など最低3ヶ月程度はかかります。

見た目を早く改善させる対処法

見た目や噛み合わせを早期に改善するために仮歯を使います。インプラントを入れて同日に仮歯が入れば、歯がない期間を短くすることができます。最終的なものは何十年も使っていくものなので噛み合わせや歯茎が安定してから作り直します。

5−6.保険診療ではできない

インプラント治療は一部の特殊な場合を除いては保険診療で行うことはできません。自費診療となり30万円から50万円程度かかります。

自分の歯を将来使い続けるための対処法

歯の一本の価値は人それぞれ違います。以前の裁判では歯の一本の価値は100万円程度という判例があります。保険のブリッジの平均耐用年数は7年です。7年後新たにブリッジができないことになれば今度は3本の歯を失ってしまうこともあります。

6.顎の骨を失った方の特殊なインプラント治療

骨がなくてインプラントができないと言われた方に、インプラントの前に骨を作ったり、インプラントと同時に骨を作る方法をお伝えします。

6−1.ソケットリフト

上の奥歯の骨は鼻の空洞の副鼻腔の近くにあります。上の奥歯が失われると、副鼻腔の内圧によって副鼻腔が広がり、顎の骨が薄くなってしまいます。3mm程度の厚みが残っていれば、インプラントを入れるために開けた骨の穴から人工の骨を入れて骨の高さを作るソケットリフトという方法でインプラントを入れると同時に骨を作る処置を行います。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術と同時に行います。 費用は目安・・5万円〜15万円程度で、別途、インプラント費用がかかります。

6−2.サイナスリフト

上の奥歯の骨が薄くなり副鼻腔との距離が2mm以下の場合、インプラントを同時に入れると安定しないため、先に骨を作る処置をしてからインプラント治療を行います。骨の横から穴を開け、人工の骨を入れて10mm程度の骨の高さを作ります。これをサイナスリフトと言います。6ヶ月程度経って、人工の骨が固まってから、通常のインプラント治療を行います。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術は別に行います。サイナスリフトをして半年ほど待ってからインプラント手術をします。
費用は目安・・15万円〜30万円程度で、別途、インプラント費用がかかります。

6−3.GBR(ジービーアール)

骨の横幅が薄くなってしまうとインプラントを骨に入れても、インプラントの根の部分が出てしまいます。薄くなってしまった骨を厚くする処置のGBRをします。GBRは薄くなってしまった骨の部分に人工の骨や自分の骨を追加し、骨に厚みを持たせる治療です。骨の薄さによってインプラントと同時に行う場合と、GBRを行って骨が出来上がってからインプラントを行う場合があります。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術は別に行います。GBRをして半年ほど待ってからインプラント手術をします。
費用は目安・・10万円〜20万円程度で、別途、インプラント費用がかかります。

6−4.スプリッドクレスト

スプリッドクレストは骨の厚みを少しずつ広げながらインプラントを入れていく方法です。骨の柔軟性を利用しながらインプラントを入れる穴を広げ、ある程度広がったところにインプラントを入れます。その際隙間には人工の骨を入れます。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術と同時に行います。
費用は目安・・5万円〜15万円程度で、別途、インプラント費用がかかります。

6−5.短いインプラントを繋げる

骨の高さがない場合は通常より短いインプラントを使います。インプラントは歯の根と同じくらいの長さのものを骨に入れることが多いのですが、骨の高さが足りない場合には短いインプラントを入れ、上につける被せ物をつないで強度を保ちます。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術と同時に行います。
費用は目安・・インプラントの本数分の費用がかかります。

6−7.インプラントを斜めに入れる

骨移植や骨造成が行えない場合、斜めにインプラントを入れる方法を使うことがあります。本来インプラントは周りの歯に合わせた方向に入れますが、まっすぐに入れると骨が足りない場合、わざと骨のある部分に斜めに入れることがあります。もともとある骨を使うので安定したインプラントになります。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術と同時に行います。
費用は目安・・・インプラントの本数分の費用がかかります。

6−8.ザイゴマインプラント

上顎の奥歯の骨がほとんどない場合、頬の骨に長いインプラントを入れて安定させるザイゴマインプラントという方法を使うことがあります。ザイゴマインプラントは単独で使うことは少なく、前歯のインプラントとザイゴマインプラントをつないで使うオールオンフォーという4本のインプラントでブリッジを支える方法で使います。

治療回数と費用

治療回数・・・インプラント手術と同時に行います。
費用は目安・・・通常のオールオンフォーの費用の150万円〜300万円程度に50万円〜100万円の追加の費用がかかります。

7.安心できるインプラント治療の歯医者選びのポイント

7−1.CTで三次元的な検査をする

インプラントは骨の中にチタン製の人工歯根であるインプラントを入れます。骨の厚みや高さ、血管や神経の位置を3次元的に確認しないと大きな事故につながることがあります。そのためインプラントを行う前にCTレントゲンで検査してくれるところをおすすめします。

7−2.サージカルガイドを使ってインプラントの位置を決める

サージカルガイドはCTレントゲンで設計した位置に正確にインプラントを入れる方法です。インプラントを変な方向に入れてしまうとインプラントが長持ちしなくなります。

7−3.メンテナンス行なっている

インプラントは人工物です。定期的にメンテナンスしなければ汚れが溜まり抜けてしまうことがあります。治療だけでなくメンテナンスもしっかりしてくれる歯医者をおすすめします。

8.インプラントを長持ちさせる方法

8−2.自分の残っている歯をこれ以上減らさないような口腔ケア

自分の残っている歯が歯周病で悪くさせないようなお口の中の環境であれば、インプラントも同じようにいい状態でお口の中で機能し続けることができます。成人が歯を失う40%は歯周病で、30%は虫歯です。インプラントが虫歯にならないことを考えると、歯周病の予防ができれば70%の確率でインプラントを守ることができます。また、他の歯が無くなってしまうとインプラントに、今まで以上に噛み合わせの負担がかかりインプラントの寿命を短くしてしまいます。

8−3.歯医者での定期的なクリーニング

歯周病はご自身の歯磨きやデンタルフロスだけでは防ぐことができません。歯周ポケット内の細菌を歯医者で定期的に取り除くことによって歯周病予防ができます。インプラントも同じようにご自身だけでの管理では歯石が付いてもそのままになり、歯周病が進行してしまいます。

8−4.歯医者での噛み合わせの調整

歯は根の周りに歯根膜(しこんまく)というクッションが存在します。また、擦り減ることによって一本だけがかみ合わせで強く当たるのを防いでいます。インプラントは骨と直接繋がっているため、クッションになるものがありません。被せものも多くはセラミックを使っているため、擦り減りが少なく、時間の経過とともにインプラントだけが強く当たってきます。そこで定期的な噛み合わせの調整が必要となるのです。インプラントに被せてあるセラミックが欠けたり、割れたりすることはインプラントを守る上ではいいことなのです。

8−5.歯ぎしりの強い力から守るマウスピース

歯ぎしりが強い人はご自身の歯も擦り減らしたり、割れたり、揺れてきたりします。インプラントも同じような力が加われば被せものが割れるか、インプラント自体が揺れてきてしまいます。そのため歯ぎしりがある方は自分の歯を守る意味でもマウスピースを使用する必要があります。

8−6.糖尿病や骨粗しょう症にならないような健康管理

インプラントの寿命を延ばすには植えられている骨が健康でなくてはなりません。糖尿病や骨粗しょう症など骨が弱くなってしまう病気になってしまうと、歯やインプラント周囲の骨も弱くなり歯周病になりやすくなってしまいます。

8−7.安全性の高いインプラントの使用

インプラントは世界で何十種類と発売されています。安いものから、高いものまで、メーカーも出ては消えています。体の骨の中に入れるインプラントをあまり安価なものを使ってしまうと、骨の中で折れてしまったり、メーカーが撤退して土台や被せものをやり直せなくなることがあります。多少高くても世界シェアのある安全性の高いインプラントを使ったほうがインプラントの寿命を延ばすことができます。

8−9.緻密で正確なインプラント手術

インプラントの位置や方向はインプラントを半永久的に使うためにはとても重要です。位置によって汚れのつき具合は変わり、方向によって噛むときに加わる力の方向が変わります。短い期間ではそれほど変化はありませんが、何十年とつかっていくうちにその小さなズレが骨の吸収を促進させてしまいます。そのため緻密で正確なインプラントの設計と手術が必要なのです。