歯茎下がり

歯茎下がりとは

歯茎下がりは歯周病や噛み合わせ、歯並びや歯列矯正によって歯の根元が歯茎から出てしまう状態です。全体的に歯茎が下がっている場合は加齢による歯茎下がりで特に問題ではありません。しかし、歯は骨の中に埋まっているのもで、その周りに歯茎があります。歯や歯茎に強い力が加わり続けたり、骨のない部分に歯が出てくると歯茎下がりが起こります。

症状のレベルを説明

レベル1 1、2mm下がった歯茎

低年齢で1、2mmの歯茎下がりは噛み合わせが、一本だけ強く当たっていたり、爪噛みなどで歯茎を傷つけたりした場合に起こります。

レベル2 3、4mm下がった歯茎

歯茎は年齢とともに下がってきますので、30歳代以降の全体的に起こる3、4mm程度の歯茎下がりは生理的な範囲のため特に治療の必要がありません。しかし、一部だけに歯茎下がりが起こっている場合は歯周病が進行している場合があります。

レベル3 5mm以上下がった歯茎

5mm以上の歯茎下がりは歯並びの悪い歯や成人してからの歯列矯正後に起こりやすい症状です。周りの骨が大きく溶けている場合が多いです。

各レベルごとの治療法

レベル1 1、2mm下がった歯茎の治療法

低年齢での1、2mmの歯茎下がりは癖や噛み合わせを改善することで治ります。歯列矯正で強く当たっている部分を全体的に噛めるようにし、一本にかかる負担を軽減します。また、爪噛みなどの癖も取る必要があります。

レベル2 3、4mm下がった歯茎の治療法

一部だけに歯茎下がりが起こっている場合や、前歯の被せ物の隙間の隙間が気になる方は遊離歯肉移植術(ゆうりしにくいしょくじゅつ)を行います。下がってしまった歯茎の部分に他の歯茎を移植する方法です。
歯茎が下がってしまうと歯茎がしみたり、虫歯になりやすくなります。下がってしまった歯茎は自然には元の状態に戻らないため、歯茎を元の状態まで戻して見た目にも、機能的にも回復させる方法が遊離歯肉移植術です。

処置時間と費用

処置時間は1時間程度、多少の腫れと痛みが出ます。保険診療では3割負担の方で1歯10,000円程度で、自費診療の場合は10~20万円程度です。

レベル3 5mm以上下がった歯茎の治療法

5mm以上下がってしまった歯茎には裏打ちとなる骨と歯茎を再生させます。1回目に骨の再生法を行って、骨の裏打ちを作り、その後に歯茎の再生の遊離歯肉移植術を行います。

エムドゲイン再生法

豚の特殊なたんぱく質を利用して骨を再生させるエムドゲイン法は、より速いスピードで組織を再生させる方法です。早く再生させることによってお口の中の細菌が処置した部分に付きにくくなり、より成功率が高くなります。

費用:自費診療のみで10~15万円程度です。

自分の骨や人工骨を使った再生法

お口の他の場所から自分の骨を持って来たり、人工の骨を使って下がってしまった骨の部分に、移植して骨を再生させる方法です。人工の骨は最終的に自分の骨と置き換わっていきます。また、エムドゲインを使うとより骨が出来易くなります。

費用:保険診療では3割負担の方で1歯15,000円程度で、自費診療の場合は10~15万円程度です。

膜を使った再生法

歯周組織再生誘導法(ししゅうそしきさいせいゆうどうほう・GTR法)は歯茎だけでなく、歯茎を支えている骨まで下がってしまった場合、そのままにすると骨はより吸収し、最後には歯が抜けてしまいます。下がってしまった骨の部分にメンブレンと言われる膜を置いて、その中に骨ができるようにする方法です。

処置時間と費用:処置時間は1時間程度、多少の腫れと痛みが出ます。保険診療では3割負担の方で1歯15,000円程度で、自費診療の場合は10~15万円程度です。

歯医者選び方のポイント

・治療の前に口の中の環境を整えてから治療を行う歯医者

歯茎が腫れていたり、歯石が付いている口の中で治療を行っても精度の高い治療を行うことは出来ません。歯茎下がりの治療の前に歯周病の治療を行い、出血のないキレイな口の中で治療をしてくれる歯医者は、丁寧な治療をしてくれます。

・マイクロスコープで治療をしてくれる歯医者

マイクロスコープは手術用顕微鏡で歯茎を移植する処置や骨を作る処置などを精密に行うために有効な方法です。

・写真や動画で自分の歯の状態を説明してくれる歯医者

歯茎下がりの状態や治療前後の歯茎の状態を写真や動画で説明してくれる歯医者はおすすめです。お互いに認識の違いでトラブルになるよりもしっかりと証拠を残してくれる歯医者がおすすめです。

歯茎が下がりの予防法

2-1.歯磨き圧が強すぎると歯茎が下がる

歯磨きの時、強く磨きすぎると歯茎が傷つき、下がってしまいます。歯茎は軟らかい為に、硬い歯ブラシや磨き方が強いと傷ついてしまいます。歯ブラシの固さは普通の物を使い、毛先が多少しなる程度の力で磨くことで、歯茎の下がりを予防できます。

2-2.歯ぎしりの力によって歯茎が下がる

歯ぎしりは寝ている間、無意識に強い力で長時間、歯に揺さぶりをかけています。その力で歯を支えている骨が溶かされ、歯茎も下がってきます。歯ぎしりの力を分散させるために寝ているときにマウスピースを使用します。

2-3.歯並びが悪いと歯茎が下がる

歯は顎の骨の中に埋まって生えています。顎の骨と歯の大きさが合わず凸凹してしまうと歯が顎の骨から押し出され歯茎が下がってしまいます。八重歯など歯茎の外に押し出されてしまった歯は、年齢とともに歯茎が下がってしまいます。早めに歯列矯正をして顎の中に歯が並ぶようにします。抜歯をする矯正が必要なこともあります。

2-4.無理な抜歯をしない矯正治療で歯茎が下がる

歯列矯正の時、できれば抜歯をしないで歯並びを改善したいと誰もが思うことだと思います。しかし、無理に抜歯をせずに歯を並べると歯茎の中で顎の骨から歯が飛び出してしまい、年齢とともに歯茎が下がってきてしまいます。周りの骨がないために歯周病にかかると進行が速くなってしまいます。顎と歯のバランスのあった矯正治療が必要です。また、年齢も30歳過ぎてからの矯正治療はあまり大きく動かさないようにします。

2-5.前歯の凸凹があると歯茎が下がる

前歯の噛み合わせが部分的に受け口になると、下の前歯が強く当たってしまい歯茎が下がってきます。特に7,8歳くらいの時に前歯の噛み合わせが一部分受け口になると、上の歯に比べて細い下の歯の歯茎が下がってしまいます。一時的に歯並びを改善します。成長に伴ってまた受け口が出てしまう可能性もありますが、成長が止まってからもう一度矯正を行います。

2-6.爪噛みなどの癖があると歯茎が下がる

小学校の低学年くらいにみられる癖で爪を噛んだり、爪で歯茎を引っかいたりする癖があります。この癖によって歯茎が傷つけられて、下がってしまうことがあります。この癖にプラスして歯肉炎があるとより歯茎の下がりが強くなってしまいます。癖をやめる必要があります。ストレスなどが原因のことが多いため、お子さんの話をよく聞いてあげてください。また、この年齢の歯肉炎は丁寧な歯磨きとデンタルフロスの使用で2,3週間くらいで改善しますので、仕上げ磨きをしてあげてください。

2-7.歯周病によって周りの骨とともに歯茎が下がる

歯周病は歯を支えている骨や歯茎が下がってきてしまう病気です。骨が溶け続ければ歯が揺れ、最後には歯が抜けてしまいます。初期のころは症状が出にくいため、歯周病になっていることに気づきにくいのです。気づいたら骨が無くなっていることはよくあることです。歯周病はなってから処置をするととても大変です。定期的なクリーニングを行い自分の歯を出来るだけ長く使うようにします。