歯ぎしりは治るの?原因と歯医者や自宅でできる治療法・費用・期間

原因不明の歯の痛み、いつまでも治らない知覚過敏などに悩まされている方も多いのではないでしょうか。多くの場合、歯ぎしりが原因になっていることがあります。
通常、歯が接触する時間は食事の時の20分程度と言われています。それも意識しているときは強い力で歯と歯が接触することがないのです。

しかし、歯ぎしりは長時間、強い力で歯と歯が接触するため歯や歯茎に大きなダメージを与えるのです。例えば詰め物が取れやすい、セラミックが割れる、歯周病が治らないなど歯ぎしりが原因の可能性が高いのです。

今回は歯ぎしりによって起こる症状とその治療法について紹介します。

歯ぎしりとは

歯ぎしりとは無意識に歯と歯を接触させる行為です。通常、歯と歯は無意識の時には1mm程度の隙間が開いています。これを安静空隙(あんせいくうげき)といいます。歯ぎしりは食事の時など歯を接触させる必要がない時に接触させる行為をすることです。

ーー歯ぎしりの種類ーー

歯ぎしりというものには3種類あり、必ずしも音が出るものばかりではなく、食いしばりなどは音が出ないものもあります。

・タッピング(カチカチと音を出す)
・グラインディング(いわゆる歯ぎしり)
・クレンチング(食いしばり)

ーー歯ぎしりが起こる時間ーー

寝ている時の歯ぎしりは脳の興奮によって起こるもので、眠りが浅い時間帯(ノンレム睡眠)に起こります。40分〜90分強い力で歯と歯が接触します。

これくらい強い力がかかるので治療が必要です。

ーー歯ぎしりの原因ーー

寝ている時の歯ぎしりの原因はストレス、遺伝、薬、飲酒、喫煙、生活習慣、病気など様々です。人によって歯ぎしりの原因が違います。そのため、歯ぎしりを治していくには原因として考えられることを一つ一つ取り除いていく必要があります。

ーー歯ぎしりと顎関節症との違いーー

顎関節症とは顎や顎の周りの筋肉が痛くなったり、口が開かなくなったりすることです。歯ぎしり=顎関節症ではありませんが、歯ぎしりは顎の周囲にかかる負担はとても大きいので、顎関節症の主な原因の一つです。

ーー歯ぎしりで起こる口や体の変化ーー

歯ぎしりによって歯や口の周りに応力が生じ、骨や筋肉などに変化が見られます。

骨隆起(こつりゅうき)

歯ぎしりがある方は顎の骨に歪む力が加わり、歪む力が集中する所に骨のこぶである骨隆起ができることがあります。骨隆起自体は悪いものではないので取る必要はありませんが、入れ歯や発音に障害が出るようになると切除する場合があります。 

顔が大きくなる

歯ぎしりの時に使う筋肉は顔の周りに付いている筋肉です。歯ぎしりがある方はこの筋肉が発達し、顔がおおきくみえてしまうことがあります。もちろんこの筋肉は生きていくには重要な筋肉の為、ある程度は力が必要です。しかし、食いしばりを続けていくと異常に発達し、筋肉や骨を成長させて顔を大きく見せてしまうことがあります。

自分で出来る歯ぎしりチェック10項目

  1. 日中、集中している時に歯を食いしばっていることがある
  2. 朝起きた時に顎や頬の筋肉が張っていることがある
  3. 頬や舌に歯を押し付けた跡が残っている
  4. 歯ぎしりしていると近親者に言われたことがある
  5. 歯が短くなってきている
  6. 歯の根元が削れている
  7. 下の歯の内側や上の歯の頬側、上顎の真ん中に骨のコブがある
  8. 知覚過敏の歯が多い
  9. 詰め物がよく取れる
  10. 歯に亀裂が多く見える

*一個でも当てはまれば歯ぎしりをしている可能性がありますので治療の必要があります。

歯ぎしりの症状

歯ぎしりの症状は改善できるレベル、治療が必要なレベル、歯以外に症状が広がったレベルの3段階になります。

レベル1の症状

レベル1の症状は歯ぎしりによって出たり、治ったりする症状です。歯ぎしりをコントロールできれば症状が改善するレベルです。

噛むと痛い

歯ぎしりによって歯の周りにある歯根膜という膜が炎症を起こし、噛むと痛くなります。歯ぎしりは長時間続くと、歯や歯の周りの組織にダメージを与えます。特に奥歯が噛んで痛い、上も下も左右も痛いなど、場所が特定できず痛みの位置が変わる場合は、虫歯ではなく歯ぎしりによって痛みが出ている可能性があります。

歯がしみる

歯ぎしりによって歯や歯茎にダメージが加わると歯がしみることがあります。歯ぎしりによって歯の根元に応力が集中し、楔のように削れてきたり、噛む面が削れ、歯が短くなったりして、知覚過敏が強くなります。

歯が揺れる

歯ぎしりによって歯が揺さぶられ、歯を支えている骨が溶けて歯周病が進行しやすくなります。歯が揺さぶられると歯と歯を支えている骨の間に隙間ができます。そこに歯周病菌が入り込むとより、歯の周りの骨が溶かされ歯周病の進行が早くなり、歯の揺れも強くなります。

レベル2の症状

レベル2の症状は歯ぎしりによって歯にダメージを受け、治療が必要になるレベルです。

歯が痛い

歯ぎしりによって歯に亀裂が入り、神経が死んでしまうことがあります。歯ぎしりによって歯に亀裂が入ると、そこから細菌が神経に感染し、死んでしまうことがあります。初期の頃はしみたり、多少噛んでも痛い程度で、その後強い痛みが出ることがあります。ただし、歯医者のレントゲンでは小さな亀裂を確認することはできないため、急に痛みが出ることがあります。

歯の詰め物が取れたり割れたりする

歯ぎしりによって歯に強い力がかかると歯の詰め物やかぶせものが取れたり割れることがあります。歯ぎしりのような強い力が長時間歯に加わると銀歯が取れたり、セラミックが割れたりします。

歯が割れる

歯ぎしりによって歯に大きな力がかかると、歯が割れてしまうことがあります。特に神経のない歯は水分が減っていきもろく、割れやすくなっています。亀裂から細菌が入り、歯茎が腫れたり、口臭が出てきます。大きく割れてしまった場合は抜歯をする必要があります。

レベル3の症状

レベル3の症状は歯ぎしりの症状が歯以外に広がったレベルです。専門的な治療や他の医療機関との連携が必要なレベルです。

顎が痛い

歯ぎしりによって顎関節症になり顎が痛くなることがあります。顎は左右の関節の部分だけで頭の骨とつながっています。歯ぎしりによって顎の関節に力が加わると顎の関節にある軟骨の関節円板(かんせつえんばん)がずれたり、穴が空いたり、変形したりして顎関節症になり顎が痛くなります。

肩がこる

歯ぎしりのある方は肩や首が凝りやすくなります。歯ぎしりに使う筋肉は顎から首、肩にかけて多くの筋肉がつながっています。歯ぎしりをすることによって筋肉が緊張し、疲労感がたまり、肩こりがなかなか取れないことがあります。

偏頭痛

歯ぎしりの時に使う筋肉には、顎から頭の横に広がっている側頭筋(そくとうきん)という筋肉があります。歯ぎしりによって筋肉が緊張すると側頭筋によって頭が締め付けられるような偏頭痛が起こることがあります。

歯ぎしりの治療法

歯ぎしりを治すには歯ぎしりの力を分散させるマウスピース、歯ぎしりを起こしている筋肉をコントロールするボトックス注射や筋弛緩薬、筋肉の緊張を和らげる整体や鍼、精神の安定や体の内部から整える漢方薬があります。

歯ぎしりの治療は基本的に対処療法で、完全に治ることはなく、症状が出たり、引いたりします。治療法には歯医者や口腔外科などで行う治療と生活習慣など自宅で行う治療法があります。

歯医者や口腔外科などで行う治療法

歯を保護するマウスピース

寝ている時の歯ぎしりは噛む力をコントロールできないため、噛む力は自分の体重以上になることもあります。そのため歯ぎしりによって歯がすり減る、歯がしみる、歯が欠けるなど多くのトラブルが起こります。歯ぎしり用マウスピースで防ぐ必要があります。

歯ぎしり用マウスピースは基本的に夜寝ている間に使用します。日中食いしばりが気になる方は、日中も使用可能ですが、できるだけ起きている時は自分自身で食いしばりを意識して改善するようにします。起きている時の食いしばりは癖が原因なので、意識すれば改善できます。

【費用】保険診療3割負担の方で3千円〜5千円程度、自費診療の場合は5万円〜15万円程度です。

注意:市販のマウスピースは噛み合わせを悪くすることもある

通販等で売っている市販のマウスピースは自分で形を整え、歯に合わせます。奥歯まで覆うことができていないと、噛み合わせが悪くなってしまいます。噛み合わせが変わってしまうと、元に戻すには矯正治療をしなくてはいけない場合もあります。マウスピースは歯医者で型取りをして、自分に合ったものを作ってもらうようにしてください。

筋肉を弛緩させるボトックス注射

ボトックスとはボツリヌス菌から出るタンパク質の一種で、美容外科などで行われるシワとりなどに使われる薬です。ボトックスを注射すると筋肉に力が入らず、弛緩した状態になり歯ぎしりを防ぎます。

【効果】3〜4か月程度でです。
【費用】自由診療の範囲となり、10〜15万円程度です。

筋肉を弛緩させる筋弛緩薬

歯ぎしりを治す薬は筋弛緩薬のジアゼパムやメトカルバモール、高血圧の治療に使うクロニジン、精神疾患の薬のクロナゼパムなどに歯ぎしりを治す効果があるとされています。しかし、薬物依存や副作用の問題もあり長期間は使うことができません。

精神を安定させる漢方薬

抑肝散(よくかんさん) 350錠 2,676円

抑肝散の効能には神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害などがあります。

商品説明 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J0601010801_01_A.pdf
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抑肝散加芍薬黄連錠(よくかんさんかしゃくやくおうれんじょう) 72錠 1,350円(実勢価格990円)

抑肝散に鎮静作用のある芍薬(しゃくやく)と精神不安に効果がある黄蓮(おうれん)が加わったものです。効能は抑肝散と同じで神経のたかぶりが強く、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症 (神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害などです。

商品説明 http://www.kracie.co.jp/ph/yokukansan/
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抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)エキス顆粒クラシエ 24包 2,376円(実勢価格1,868円)

抑肝散に陳皮と半夏を加えたもので自律神経を安定させる効果があります。

商品説明 http://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/yokukansankatinpihange.html
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筋肉をほぐす整体や鍼

歯ぎしりにより噛むための筋肉は緊張し硬くなっています。緊張した状態のままだとより、力が入りやすく歯ぎしりにつながります。整体や鍼で筋肉の緊張をほぐすことによって歯ぎしりを軽減させます。

筋肉を弛緩させる筋弛緩薬

歯ぎしりを治す薬は筋弛緩薬のジアゼパムやメトカルバモール、高血圧の治療に使うクロニジン、精神疾患の薬のクロナゼパムなどに歯ぎしりを治す効果があるとされています。しかし、薬物依存や副作用の問題もあり長期間は使うことができません。

噛み合わせの調整

噛み合わせが悪い=歯ぎしりではありません。現在はかみあわせを調整することはあまり推奨されていません。しかし、正しい噛み合わせにすることは重要です。抜いた歯や治療途中の歯、痛い歯などは治すことによって、左右両方で噛める噛み合わせにします。

歯並びを綺麗にする矯正治療

歯並びが綺麗な方でも歯ぎしりをする方もいるので、確実に矯正治療をしたからといって歯ぎしりが止まる訳ではありません。しかし、矯正治療後歯ぎしりや顎の痛みが軽減する方は多く、矯正治療も有効な手段の一つです。

自宅で行う治療法

歯ぎしりは脳の興奮が原因で、眠りが浅い時間帯(ノンレム睡眠)に起こります。脳の興奮が起こる原因は一人一人違います。歯ぎしりを無くしていくには、眠りを浅くしている原因を取り除き、眠りの質を改善させる必要があります。

禁煙する

タバコに含まれるニコチンには神経を興奮させ、脳を覚醒する作用があり、深い眠りを妨げる効果があります。また、直接口の中に入るタバコは歯周病のリスクも高くなります。歯ぎしりと歯周病を悪化させるタバコは歯を失わせる危険度の高い因子です。禁煙外来等でニコチンの量を減らす必要があります。

寝る前の飲酒やカフェインは控える

飲酒から3時間ほど経つと体内で分解されたアルコール成分は交換神経を刺激する物質へと変わり、睡眠を妨げます。またカフェインも興奮作用があるため、不眠の原因となります。

 

ストレスを溜め込まない

歯ぎしりの原因すべてがストレスと言われることがありますが、実際ストレスで起こる歯ぎしりは10%程度です。ただし引越し、転職、入学などの環境の変化でストレスが大きくなると歯ぎしりが強くなることがあります。また、近親者が入院したり、亡くなったりするとストレスはかなり強くなり、歯が欠けたり、詰め物が取れたりと症状が出ることがあります。

ストレスや不安があるとなかなか寝付けなかったり、熟睡できないこともあります。不安が頭の中に残り深い睡眠を妨げます。ストレスを溜め込まないように発散することを心がけます。

病気が原因の歯ぎしりを治す方法

睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療

睡眠時無呼吸症候群とは眠っている間に呼吸が止まったり、弱くなり体の中の酸素濃度が低下する病気です。 睡眠中に呼吸が止まったり、激しいいびきによって呼吸が乱れると眠りが浅くなり歯ぎしりが起こりやすくなります。睡眠時無呼吸症候群は歯ぎしりだけでなく日中の強い眠気や疲労感など体にも影響を及ぼす病気です。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠外来などで治療が必要です。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧治療)や睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースで気道を確保し、体に酸素を取り込みやすくし、質の良い睡眠を確保します。睡眠時無呼吸症候群の原因は加齢、肥満、顎が小さい、副鼻腔炎、飲酒、高血圧、糖尿病などで気道が狭くなることによって起こります。

逆流性食道炎の治療

逆流性食道炎とは胃や食道の機能が低下し、寝ている時に胃液が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。睡眠中に胃液が食道に逆流すると、胸やけや喉の痛み、不快感によって睡眠が妨げられます。また、胃液の逆流によって起こる不快感を解消するために、歯ぎしりをして唾液腺を刺激し、無意識に唾液で洗い流して不快感を取り除きます。そのため歯ぎしりを改善するには逆流性食道炎の治療が必要になります。

精神疾患治療薬の変更

精神疾患治療薬の抗うつ剤である選択的セロトニン再吸収阻害薬が歯ぎしりを悪化させる可能性が指摘されています。

子供の歯ぎしり

自然に治ってきます。
寝ている時の歯ぎしりは小児で10~20%、成人では約5~8%、高齢者で2~3%で、年齢とともに少なくなっていきます。子供の場合は成長するにつれて少なくなっていくことが多く、ほとんどの場合、経過を見るだけのことが多いです。

子供は成長に伴い顎が大きくなったり、生え変わりによって噛み合わせが変わったりします。その変化に対応するために歯ぎしりをして噛み合わせを自分で調整しています。また、場合によってはストレスによって起こることもありますので、スキンシップを多くとり安心させてあげてください。

遺伝によって起こる歯ぎしり

歯ぎしりを自覚する人の50%の血縁者に歯ぎしりが認められるという報告があります。また、二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が二人とも自覚する頻度が高いこともわかっています。